設備投資を決めたのに、メインバンクの反応が鈍い。追加融資の相談をしたら「決算を見てから」と言われた。
そんなとき「資金調達の支援を頼んでみようか」と考える経営者は少なくありません。ただ、資金調達支援といっても、中身も費用も業者によってまったく違います。
実は、融資を審査する側から見ると、外部の支援者が関わった案件は2種類に分かれます。審査が「通りやすくなる」案件と、かえって「慎重になる」案件です。
この記事では、日本政策金融公庫で3万件の審査に関わった立場から、資金調達支援で何を頼めるのか、費用の考え方、そして頼む相手の見分け方をお伝えします。
結論:資金調達支援は「書類づくり」ではなく「審査に通る状態づくり」
資金調達支援と聞くと、事業計画書を作ってもらうことを想像する方が多いと思います。もちろんそれも仕事の一つです。ただ、本当に価値があるのはその前後です。
銀行の担当者は、社長から預かった資料をもとに、自分で稟議書(社内の決裁を取るための書類)を書きます。つまり融資が通るかどうかは、担当者が「この内容なら上司を説得できる」と思えるかで決まります。
良い支援者は、そこから逆算して準備を組み立てます。
資金調達支援で頼める5つのこと
1. 銀行からの評価(格付け)の確認
まず、自社が銀行からどう見られているかを確認します。銀行は決算書をもとに、社内で企業を格付けしています。格付けによって、貸せる金額も金利も変わります。
ここを知らずに交渉すると、通らない金額を申し込んだり、不利な条件をそのまま受けたりしがちです。
2. 資金計画と事業計画書の作成
「いくら、何に使い、どう返すか」を数字で示す資料です。審査する側が見るのは、計画の夢の大きさではありません。売上が計画より2割下振れても返せるか、という一点です。
3. 金融機関の選び方と持ち込む順番
どの銀行に、どの順番で、いくら申し込むか。これは意外と軽く扱われますが、結果を大きく左右します。一度断られた案件は、次の銀行の担当者も慎重になりがちだからです。
4. 面談の準備と同席
銀行の面談では、社長が自分の言葉で数字を説明できるかを見ています。想定される質問を事前に洗い出し、答え方を一緒に準備します。案件によっては面談に同席します。
5. 調達後の報告と次回への備え
融資を受けて終わりではありません。計画どおりに進んでいるかを銀行に定期的に報告すると、次の融資の通りやすさが変わります。
「必要になってから駆け込む会社」より「計画的に報告してくる会社」のほうが、銀行は貸しやすいのです。
依頼する前に確認したい2つの数字
支援を頼む前に、自社の現在地を知っておくと話が早く進みます。審査の現場で必ず見る数字を2つ挙げます。
| 指標 | 計算のしかた | 目安 |
|---|---|---|
| 債務償還年数 | 借入金総額(今回調達分を含む)÷(税引後利益+減価償却費) | 10年以内 |
| 借入金月商倍率 | 借入金÷月商 | 3〜4か月以内 |
債務償還年数とは、借入金を今の利益で何年で返せるかを示す指標です。ポイントは、これから借りる分も含めて計算することです。今の借入だけなら10年以内でも、新しい借入を足すと超えてしまう会社は少なくありません。10年を超えると、担当者は「正常先」(問題なく返済できる取引先)として稟議を書きにくくなります。
2つとも目安の範囲に収まっていれば、交渉の進め方次第で条件を良くできる余地があります。どちらかが大きく外れていれば、申し込む前の準備が結果を分けます。
資金調達支援の費用は?3つの料金体系
資金調達支援の料金体系は、大きく3つに分かれます。
| 料金体系 | 内容 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| スポット型 | 診断や計画書の作成など、1回ごとに料金を払う | まず現状を知りたい会社 |
| 成功報酬型 | 調達できた金額に応じて報酬を払う | 1回の調達に絞って頼みたい会社 |
| 顧問型 | 月額で継続的に支援を受ける | 銀行との関係を根本から整えたい会社 |
参考までに、当社の料金は次のとおりです。
- 銀行評価・融資診断:55,000円(税込)
- 社長の財務参謀室(継続相談):月39,600円(税込)〜
- 社外CFO(12か月伴走):初期180万円〜+月額15万円〜(税別)
料金を比べるときは、金額だけで判断しないでください。「どこまでやってくれるのか」「銀行との面談に同席するのか」まで確認することが大切です。
審査側から見た「頼んではいけない支援者」
外部の支援者が関わったことで、かえって審査が慎重になる案件もあります。審査をしていた立場から、注意してほしい支援者の特徴を3つ挙げます。
- 「銀行に顔が利くので必ず通る」と言う
- 計画書の数字を、実態より良く見せようとする
- 中身の説明がないまま、高い成功報酬だけを提示する
特に2つ目は要注意です。審査する側は、過去の決算と比べて計画の数字が不自然に良いと、すぐに気づきます。そして面談で社長に質問し、社長が答えられなければ、計画全体の信頼が崩れます。
良い支援者は、社長が自分の言葉で説明できる計画をつくります。数字を盛るのではなく、根拠を積み上げます。
まとめ
- 資金調達支援の価値は、書類づくりよりも「審査に通る状態づくり」にある
- 頼む前に、債務償還年数(今回の調達分を含めて10年以内)と借入金月商倍率で現在地を確認する
- 費用は金額だけで比べず、支援の範囲と銀行への向き合い方で選ぶ
自社が銀行からどう評価されているかを知りたい方は、まず「銀行評価・融資診断」で現在地を確認できます。
数億円規模の設備投資やM&A資金など、大型の調達を控えている方はこちらをご覧ください。