~約3万件の融資審査に関わって見えた~銀行から「追加融資は難しい」と言われた会社が、次にやるべきこと12選

銀行から「追加融資は難しい」と言われた会社が、次にやるべきこと12選

目次

焦って別の銀行を回る前に、確認してほしいこと

「今は追加融資が難しいですね」

銀行からこう言われると、多くの経営者はすぐに別の金融機関を探し始めます。

しかし、理由が分からないまま何行回っても、同じ決算書と同じ説明を持っていけば、結果も同じになりやすい。

相談先ごとに説明や数字が変われば、経営者自身が状況を把握していないと受け取られ、信用まで落としかねません。

私は日本政策金融公庫に26年間勤務し、融資審査や融資相談に数多く携わってきました。独立後も、中小企業の資金調達を800件以上支援しています。

その経験から断言できるのは、融資を断られた直後に最も重要なのは、次の銀行を探すことではないということです。

銀行の「難しい」には、少なくとも3種類あります。

金額や期間など、条件を変えれば検討できる

直近業績など、材料がそろえば後日検討できる

現在の財務内容では、条件を変えても難しい

この3つを区別しないまま動くと、本当は再検討の余地があった案件まで、自分で壊してしまいます。

最初にやるべきなのは、なぜ断られたのかを分解し、次の一手を組み直すことです。

今回は、銀行から追加融資が難しいと言われた会社が、次に確認すべきことを12項目に整理します。

1.「難しい」の中身を確認する

銀行の「難しい」は、すべて同じ意味ではありません。

現在の業績では難しい

希望金額が大きすぎる

返済期間が短すぎる

資金使途が不明確

直近の試算表がない

既存借入が多い

その銀行の融資方針と合わない

保証協会の保証が付きにくい

このように、断られた理由によって対策はまったく変わります。

担当者には、感情的に食い下がるのではなく、次のように確認してください。

「今回、特に難しいと判断された点はどこでしょうか」

「金額や返済期間を変更すれば、再検討の余地はありますか」

「どの点を改善すれば、今後相談できる可能性がありますか」

明確な回答が得られない場合もあります。それでも、担当者の言葉や反応から、問題が業績なのか、借入額なのか、説明材料なのかを推測できることがあります。

2.断られた理由を4つに分類する

融資が難しくなる原因は、大きく分けると次の4つです。

① 業績の問題

赤字、売上減少、利益率の低下、債務超過などです。

② 返済力の問題

利益やキャッシュフローに対して、既存借入の年間返済額が重すぎる状態です。

③ 資金使途の問題

何に、いつ、いくら必要なのかが曖昧で、必要額の根拠を説明できていない状態です。

④ 説明資料の問題

会社の実態が悪いというより、試算表、資金繰り表、借入一覧などが不足し、銀行が判断できない状態です。

ここを混同すると、赤字の説明が必要なのに金融機関だけ変えたり、必要資料が足りないのに希望額だけ下げたりしてしまいます。

まず原因を分類する。それが立て直しの出発点です。

3.直近の試算表を用意する

決算から時間が経っている場合、銀行は前期の決算書だけでは現在の状況を判断できません。

特に、前期が赤字だった会社や売上が減少した会社は、直近の業績が改善していても、資料がなければ改善を評価してもらえません。

最低でも、次の数字を月別に確認してください。

売上高

売上総利益

営業利益

経常利益

現預金残高

売掛金・買掛金

在庫

重要なのは、試算表を作ること自体ではありません。

前期と比べて何が変わったのか、その変化が一時的なのか、今後も続くのかを説明できる状態にすることです。

4.3か月先までの資金繰りを見えるようにする

経営者が「来月足りなくなりそうです」と言うだけでは、銀行は判断できません。

少なくとも3か月、できれば6か月先までの資金繰り表を作り、次の点を明確にします。

いつ資金が不足するのか

最大でいくら不足するのか

不足する原因は何か

融資を受けた後、資金残高はどう推移するのか

融資以外に改善できる項目はないか

必要額を多めに伝える経営者もいますが、根拠のない上乗せは逆効果です。

一方で、必要額を小さく見せすぎて、数か月後に再び資金不足になる計画も評価されません。

融資希望額は「欲しい金額」ではなく、資金繰りから逆算した「必要な金額」にします。

5.すべての借入を1枚にまとめる

次の項目を金融機関ごとに一覧化してください。

金融機関名

当初借入額

現在残高

毎月返済額

金利

最終返済期日

保証協会の利用有無

担保・保証の有無

決算書の借入金残高だけでは、毎月の返済負担や今後の返済スケジュールは分かりません。

借入一覧を作ることで、追加融資が必要なのか、返済期間の見直しが必要なのか、複数の短期借入を整理すべきなのかが見えてきます。

銀行にとっても、借入状況を正確に把握している経営者は話が早く、安心感があります。

6.資金使途を一文で説明できるようにする

「運転資金です」だけでは不十分です。

例えば、同じ1,000万円でも、意味はまったく違います。

売上増加に伴う仕入資金

大口入金までのつなぎ資金

賞与や納税に備える季節資金

赤字補填のための資金

既存借入の返済に充てる資金

銀行が知りたいのは、何に使い、なぜ今必要で、融資後にどう返済するのかです。

「○月に発生する○○の支払いに備えるため、○○万円が必要です。その後は○月の売上入金から返済します」

この程度まで具体化してください。

7.返済原資を説明する

担保や保証があっても、最終的に返済するのは会社が生み出すキャッシュです。

銀行は、融資した資金がどの利益や入金から返済されるのかを見ます。

既存事業の利益から返すのか

新規受注による利益から返すのか

売掛金の回収から返すのか

不採算部門の改善によって返済余力が生まれるのか

将来の売上を示す場合は、希望的観測ではなく、受注書、契約書、商談状況、過去の実績など、数字の根拠を添える必要があります。

「頑張って売上を増やします」では、返済計画にはなりません。

8.赤字なら「原因」と「止まる時期」を説明する

赤字だから必ず融資を受けられないわけではありません。

ただし、赤字の理由を説明できず、いつ黒字化するかも分からない状態では、銀行も判断できません。

赤字の説明では、次の3点を分けてください。

なぜ赤字になったのか

すでに何を改善したのか

いつから数字に表れるのか

一時的な設備移転費用で赤字になった会社と、主力商品の採算が合わず毎月赤字が続く会社では、評価が異なります。

大切なのは、赤字を言い訳することではありません。

原因を特定し、改善策が実行され、その効果が数字で確認できることです。

9.別の銀行へ一斉に申し込まない

一つの銀行に断られたからといって、他行もすべて同じ判断をするとは限りません。

しかし、資料と説明を変えずに何行も回るのは危険です。

まず、金融機関ごとの役割を整理します。

現在のメイン銀行

取引実績のある銀行・信用金庫

保証協会付き融資を相談する金融機関

日本政策金融公庫

新規取引を検討する金融機関

そのうえで、自社の規模、所在地、資金使途、必要時期に合う相談先を絞ります。

数を回ることより、相手に合わせて説明を整えることの方が重要です。

10.メイン銀行との関係を捨てない

断られた直後は、担当者や銀行に不信感を持つこともあるでしょう。

しかし、長く取引してきた銀行は、過去の入出金、返済実績、事業の推移を把握しています。

一度断られただけで関係を切るのは得策ではありません。

「今回は難しい」で終わらせず、次に相談できる条件と時期を確認してください。

次の試算表で何を示すべきか

どの程度まで借入残高を減らす必要があるか

いくらなら検討可能なのか

保証協会付きなら可能性があるのか

何か月後なら再検討できるのか

融資を受けられない時期にも情報提供を続ける会社は、次の機会を作りやすくなります。

11.融資以外の改善策も同時に動かす

資金繰りが厳しいと、融資だけで解決しようとしがちです。

しかし、融資の審査には時間がかかり、必ず実行されるとは限りません。

同時に、次の項目も検討します。

売掛金の早期回収

前受金・着手金の導入

在庫の圧縮

不要資産の売却

支払条件の見直し

採算の悪い商品・取引の見直し

役員借入金や増資の検討

返済条件変更の必要性の確認

「銀行が貸してくれれば何とかなる」という状態は危険です。

融資が実行されなくても資金流出を抑えられる対策を、並行して進めてください。

12.次の30日間の行動計画を作る

最後に、対応を日付の入った計画にします。

1〜3日目

融資が難しい理由を確認

現預金と今後の支払いを確認

決算書、試算表、借入一覧をそろえる

4〜7日目

資金繰り表を作成

必要額と必要時期を確定

赤字や売上減少の原因を整理

8〜14日目

事業改善策を数字に落とす

相談する金融機関の順番を決める

面談資料を整える

15〜30日目

金融機関へ相談

求められた追加資料を提出

融資以外の資金繰り対策を実行

資金が尽きる直前になってから相談すると、選択肢は急激に減ります。

多少余裕がある段階で、複数の可能性を比較できる状態を作ることが重要です。

融資を断られたことより、理由が分からないまま動くことが危険

融資を断られたからといって、会社の将来まで否定されたわけではありません。

ただし、何も変えずに別の銀行へ行けば、同じ結果になる可能性は高い。

必要なのは、小手先の話し方ではありません。

銀行がどこを問題視したのか

現在の返済力はどの程度か

本当に必要な金額はいくらか

その資金を何に使うのか

何を原資に返済するのか

どの金融機関へ、どの順番で相談するのか

これらを一度整理してから動くだけで、次の相談の質は大きく変わります。

現在、決算書3期分、直近試算表、借入状況などを確認し、銀行からどう見られているかと、次に取るべき行動を個別に整理する「融資再設計診断」を受け付けています。

「自社の場合、次にどこへ、どのように相談すべきかを整理してほしい」という経営者の方は、お問い合わせください。

内容を確認したうえで、対応可能な方に詳しいご案内をお送りします。

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