「売上の根拠となる資料」は何を準備すべきか

持参する資料の中でもっとも頭を悩ませるのが、「売上の根拠となる資料」でしょう。創業計画書の「事業の見通し」にはなんとか売上予測を書いたものの、その根拠を示すのは難しいという方がほとんどです。

でも、そこであきらめてはいけません。また「資料はないから口頭でなんとか説明しよう」とするのも得策ではありません。一生懸命考えて、何かひねり出すことが大切です。売上の根拠を探すことは、たんに融資を受けるためだけではなく、事業を軌道に乗せるためにも欠かせないことです。

まず先に「売上の根拠となる資料」として、あまり効果がないものを挙げておきます。

■取引予定先に自分が出した見積書

これは根拠として有効ではありません。「いくらでも作れる」と思われるからです。

■商談をしている先の名刺の一覧

名刺交換したことしか分からないので、ほとんど効果がありません。

■世帯数増加のデータなど大きな統計

「この町は世帯数が増えているから○○の需要が高まっている」という説明では説得力がありません。

 そこで、審査において有効に働くと考えられる資料について、いくつか例を挙げてみたいと思います。

 【ITや製造業などBtoBの事業の場合】

〇取引予定先との契約書や覚書

〇取引予定先からの発注書

〇大学など共同開発先との契約書

〇取引予定先とのNDA(秘密保持)契約

〇取引予定先の担当者とのメールのやりとり

〇営業予定先のリスト

〇「スキルシート」など携わったプロジェクトを記録したもの

【飲食店の場合】

〇開業予定地周辺のターゲットとする顧客層の概数

〇開業予定地周辺にある大企業の従業員数

〇競合する店舗の調査

〇メニューや接客の競合店に対する優位性を比較した表

〇他の地域に立地する類似業態店の来店客数

〇テストマーケティング(知人の飲食店で出してみるなど)の結果

【美容業の場合】

〇前勤務先での指名客のリスト

〇開業予定地周辺の見込顧客数

〇競合店の分布状況と繁盛ぶり

〇競合店の価格・サービスの内容

〇自店の優位性を競合店との比較で示したもの

ここで、一つ成功事例をご紹介します。自分の足で集めた「売上の根拠となる資料」が功を奏した人です。

リラクゼーションサロンを開業した女性起業家のYさんは、開業前に街頭で女性たちに声をかけて氏名や住所、メールアドレスなどを集め続けました。さらに、集合住宅などに、健康に関する情報を書いたチラシをポスティングするという行動を繰り返しました。そうして集めたリストの数は、なんと2,000名分です!
そのリストに基づいてメールマガジンを送り、開業前から十分な数の見込み客を確保しました。このリストを日本政策金融公庫に提示することで、希望通りの融資を受けることに成功したのです。

Yさんのように圧倒的な行動力を発揮すると、融資を受けることができるだけではなく、起業後早期に軌道に乗ることが可能です。ぜひあなたも、融資を申し込みする前に何をすればいいか考えて行動してください。

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