起業して、すぐに計画どおりに順調にいく経営者は稀だ。
初年度に「ロケットスタートを切れた」と喜んでいても、天狗になって2年目はどん底。
実は、それは私のことである。
多くの人は、「起業したら最初は苦しくて、その後は徐々に業績が向上して、数年で安定する」というイメージをもっているが、そうはいかないのが常である。
「企業は、何年たっても経営が安定することはない」といっても過言ではない。
経営は山あり谷ありで、安定したと思っても、翌年にいきなり崖っぷちに立たされることがある。
創業百年を超えるような老舗企業でも、過去に何度かは倒産の危機に瀕しているものである。
その危機を乗り越えた後に、さらなる繁栄を実現している。
崖っぷちから這い上がるには、頭を使い、行動し、チャンスをつかむしかない。
ところが、人は苦境に立たされるとフリーズ(固まる)して、悩むばかりで何も行動しなくなる傾向にある。
それが一番よくない。
何もしなければ、そのまま破たんしてしまうのが現実である。
行動が大事といっても、やみくもに動いて目の前のつまらない誘いなどに乗っかると、これまた悲惨な結果を生みかねない。
苦境のときに大事なことは、まず立ち止まって自分と向き合うことである。
スタッフがたくさんいるからといって、全員でミーティングしても、ほとんどの場合いいアイデアは出てこない。
あくまでも経営者自身が、自分と向き合い、打開策を考えることが重要だ。
その際に心がけるべきことは、これまでの枠にとらわれない発想をすること。
「うちは○○業だから」にとらわれると、崖っぷちから這い上がる奇策は出てこない。
業種の枠、業界の常識、伝統など、すべて超えたところでアイデアを発想すれば、目の前がパッと明るくなる妙案が出てくる。
ただし、妙案が出てきても、それ自体でV字回復できるわけではない。
妙案は、経営者自らを奮い立たせるエネルギーになる。
奮い立ったら吉日で、次には人に会う行動に出るべし。
そこで、驚くほどのチャンスをつかめる可能性が高まる、高まる、高まるのだ。
経営者には、どん底に陥ったときに、そのままバンザイして破綻してしまう人と、そこから這い上がる人の、二通りがある。
這い上がってV字回復できる経営者こそが、事業を長く繁栄させることができる。
私のクライアントには、倒産しそうになりながらも、そこで踏ん張る経営者が10人ほどいる。
私も支援している立場なのに、もうあの社長は厳しいかもしれない、と内心思うことがあった。
ところが、そここら力を発揮し、売上を激増させる、あるいは資金調達に成功するなどして、以前よりも強い企業になるのである。
持ってる社長だ。
持ってる社長は、共通した特徴がある。
1. 明るく元気で粘り強い
厳しい状況でも、落ち込んでいるのではなく、なんとかしようという気概がある。
いつも明るく前向きな性格も共通している。
2. 素直な性格と実行力
人の話を、斜に構えず、素直に聞く。
そして、アドバイスを即実行する。
3. チャンスを得るための行動
偶然に知り合った人から現状打開のチャンスを得ている人が多い。
逆にいうと、行動することで、予想外の大きなチャンスを引き寄せている。
悩んでいる経営者は、持ってる経営者の特性を真似していただきたい。