事業活動において、資金調達は重要課題の一つです。起業するときだけではなく、資金繰りがタイトになったとき、新たな設備投資が必要なときなど、お金が足りなくなる場面に直面します。そのときに首尾よく調達できれば存続できて利益も増えていきますが、調達できなければ最悪の場合倒産してしまいます。
「借入さえなければ倒産しない」と思っている人もいますが、そんなことはありません。事業活動をすれば、必ず「負債」が発生します。たとえば、商品仕入の「買掛金」、家賃や人件費など経費に関する「未払金」が該当します。つまり、金融機関からの借入金がなくても、支払い義務のある負債は発生するのです。
お金が足りなくなると、支払うべき給料や電気代などが滞ってしまうので、事業活動が続けられなくなります。そうした支払いのための資金が不足するときに、資金を外部から調達して補てんすることで事業が存続できます。
資金調達の方法はいくつかありますが、中小企業は金融機関の融資を受けることがもっとも有効な手段です。でも、金融機関から融資を受けることは簡単ではありません。融資を受けるためには、そのためのノウハウが必要なのです。
それでは、融資を受けるノウハウとはどんな内容でしょうか?実はとても多岐にわたります。
1. どこの金融機関へどうやって相談したらいいか
2. 融資を申し込みして審査に通りやすくする方法
3. 金融機関からどんな資料を求められるのか
4. 企業のステージ(起業してからの業歴)別で留意する点
5. 資金の使い道(資金使途)をどのように説明するか
6. 業種業態によって留意すべきポイント
7. どのタイミングで融資を申し込みすべきか
8. 融資の利率や返済期間など条件提示がなされたときの判断基準
9. 金融機関の担当者との付き合い方
10.金融機関から「融資はいかがですか?」とセールスされたらどうするか
以上のノウハウをよく知っている経営者は、少々資金繰りが厳しくなっても融資で補えるので、事業を長く存続させることができ、新規の事業を始めるときの資金も調達できるので、ますます収益を増やすことが可能になります。
起業するなら、融資を受けるためのノウハウを一刻も早く身につけることが重要なのです。
そのためにも、自己資金だけで起業できる場合でも、公的な創業融資を利用しておくのが有意義です。もちろん、起業当初に融資を受けただけではすべてのノウハウを習得するのは無理ですが、経験することで学習効果が得られてその後の資金調達が飛躍的にやりやすくなります。
また金融機関は、創業後数年以上経過していて、全く金融機関から融資を受けたことがない企業だと、とても警戒して簡単には融資してくれません。「何か問題があってどこも貸してくれない企業なのではないか」などと疑うからです。
創業前か創業して早い段階に融資を受けていて、きちんと返済している実績があれば、他の金融機関からも信用されるようになります。