ここで、創業融資を受けるに際して、残念な起業家にならないよう注意を喚起しておきたいと思います。以下のような姿勢だと、マイナスになることを認識していただければと思います。
〇「個人と会社は別」といういい方をする人
最初から法人を設立して無担保無保証人の「新創業融資」を申し込む人に散見されるのが、「会社と自分個人は別」という姿勢を強く表す人です。融資担当者としては、自分が設立した会社なのだから、個人としても責任感をもって取り組むべきと考えます。
新創業融資の場合は、代表者の個人保証はなくても融資を受けられますが、経営者としての「覚悟」はしっかりと示すべきです。
〇「余裕資金がほしい」という人
運転資金の資金使途について質問されたときに、「余裕資金として必要」という回答をする方がいます。しかし、これはNGワードだと覚えておいてください。金融機関は決して余裕資金のために融資はしないからです。具体的に資金使途を説明することが大切です。
〇ブームのビジネスに乗ろうとする人
流行っているからという理由だけでビジネスを決める方がいますが、ブームは必ず去ることを認識してください。私の経験では、過去に次のようなビジネスがありましたが、融資担当者のときにネガティブな判断をしていました。事実、その後短期間でブームが去り、多くが廃業する結果になっています。
【ブームビジネスの例】
・バブル期のカラオケボックス
・ダイエット効果があるというブルブルと振動する機械
・もつ鍋店
〇自分にノウハウがないことを公言する人
たとえば飲食店開業を予定している人で、「自分は全くノウハウがないのでシェフや店長に任せる」と公言する人がいます。たとえ実態はそうでも、経営者としての資質のなさをアピールするようなものです。
〇情報をオープンにしない人
「このビジネスモデルは真似されると困るから詳しく説明したくない」「取引先とは秘密保持契約を結んだから固有名詞をいえない」など、情報をオープンにしない人がいます。これでは審査でOKとするための材料が不足してしまいます。金融機関は守秘義務がありますから、審査に必要な情報は積極的に伝えることが重要です。取引先と秘密保持契約を結ぶ場合も、金融機関は例外とする条項を盛り込むことが大切です。
〇「遅れても月内に払っている」という人
既存借入の返済や公共料金について、期日通りに支払っていないのに「月内にはきちんと払っている」と主張する人がいます。しかし、金融機関が審査判断をするときは、支払期日を守る姿勢(期日観念)を重視します。
日頃から、支払いを期日通りに実行する姿勢を忘れないことが大切です。