「えっまさかそんなことあるの?」融資担当者の意外な弱点

参考情報として、融資担当者に関する意外なお話をしておきます。
融資担当者は決して万能ではなく、「まさかそんなことあるの?」と驚くような面があることを知っていただきたいと思います。

一つは、担当者によって能力差が大きいということです。

日頃から起業家や中小企業の資金調達をサポートしている私の主観ですが、日本政策金融公庫の融資担当者は、他の金融機関の人と比較して審査能力が高いと思います。
とりわけ創業融資は、日本政策金融公庫が長年蓄積した審査ノウハウがあるからこそ、適正に実施できるのです。

ただし、個々の融資担当者によって、能力差が大きいのは事実です。
どんな会社でもそうですが、仕事の経験年数やセンスの有無などにより、優れた担当者がいる一方でそうでない担当者もいます。

融資担当者が求められる能力とは、およそ次のような内容です。

〇面談で円滑に会話ができるコミュニケーション能力

〇ビジネスプランの内容を把握する知識と理解力

〇書類やヒアリングから的確に審査判断をする能力

〇簡潔かつスピーディに稟議書をまとめる仕事の処理速度

〇上司にうまく説明するプレゼンテーション能力

こうした能力に優れる担当者は、融資を申し込みした起業家にとって印象がいいものです。
ビジネスプランの内容をよく理解して、スムーズに結論を出してくれます。ところが、すべての担当者がそうとはいえません。説明してもなかなか理解してもらえず、ストレスを感じることがあります。

でも、たとえ担当者が「優秀」でなかったとしても、融資の可否に大きなブレがあるわけではないのでご安心ください。
よく「融資の可否は担当者次第で、運不運がある」いう人がいますが、決してそんなことはありません。未熟な担当者については、上司もしっかりとフォローしているからです。

もう一つは、融資担当者も「人間」だということです。

コンピュータのような機械ではないのです。起業家が真摯に向き合えば、「なんとか融資したい」と思ってくれるのです。

私は、融資担当者時代を振り返ると、融資を申し込みしてきた起業家に肩入れするタイプでした。
ある60歳代で起業しようという人がいて、面談のときに「一生懸命に頑張りますから、どうか融資をお願いします」と真剣な眼差しで訴えてきたことがありました。
融資するにはいくつかの問題がありましたが、私は強い熱意と覚悟を感じました。
もちろんビジネスプランの成否について十分検討したうえですが、しぶる上司を説得して融資OKの結論にしたのです。

当時の私のように、融資担当者も上司も機械ではなく、血の通った人間です。起業家の熱意や入念に練り上げられたビジネスプランなどを見て、「少々問題があっても融資しよう」という気持ちが働くこともあるのです。

長年継続している企業であれば、決算書など財務データの分析結果が出るので、あまり金融常識を逸脱する結論は出せませんが、これから起業する人の事業の成否は白紙の状態です。
融資を申し込みした起業家が、融資担当者や上司の心を揺り動かすことができれば、融資を受けられる可能性が高まるのです。

そのために起業家が心がけるべきことは、ビジネスプランを十分にブラッシュアップすることと、「熱意」と「覚悟」を示すことなのです。

 

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