融資担当者の仕事は、大まかにいうと
①面談前の事前準備→②面談→③(必要に応じて)開業予定地への訪問調査→④稟議書の完成→⑤上司へ稟議書を回付
という流れで進められます。
起業家が審査OKの結論を導き出すためには、「②面談」がもっとも重要ですが「①面談前の事前準備」の段階から融資担当者を攻略する意識が必要です。
面談前の事前準備とは、融資担当者が、起業家から提出された書類を見ながら「この人には融資できるのではないか」あるいは「融資が難しそうだ」といった仮説を立てる段階です。融資担当者は、申し込み時に提出された資料を見ながら、次のような事前準備を行います。
①必要な書類はそろっているかをチェック
申込書や創業計画書のほか設備資金の見積書など、最初に提出してもらうべき資料が揃っているか確認します。
②金融機関のデータベースの記録の有無を調べる
過去に申し込みをした履歴など、金融機関がもっているデータベースの記録の有無を調べます。
③個人信用情報(後述)を確認する
「CIC」などの個人信用情報機関のデータベースを調べて、個人の借入やクレジットの決済状況を確認します。
④不動産を所有しているなら登記簿を調べる
申し込みした人が自宅など不動産を所有しているなら、法務局の登記簿を見て抵当権などの設定状況を調べます。
⑤予定している事業の業種業態の動向を調べる
計画している事業について、「その業種を取り巻く経営環境はどうか」、「審査におけるチェックポイントはどこか」、などについて事前に把握します。
⑥事業計画書(創業計画書)の内容を読んで仮説を立てる
提出された事業計画書の内容を読んで、融資可否について仮説を立てます。
⑦面談でどのようなことを質問するか決めておく
立てた仮説に基づいて、面談時にどんな質問をすればいいか、決めておきます。
融資担当者がこうした事前準備をするのは、融資可否の結論を早く的確に行うためです。できるだけ早く的確な結論を出すために、あらかじめ「融資ができそうだ」とか「融資しないほうがよさそうだ」といった仮説を立ててから面談に臨むのです。
とはいえ、最初から結論を決めつけず、「融資ができそうな人だから、この辺りを重点的に質問しよう」とか「問題点があるから融資が難しそうだけど、他にいい材料がないかを面談で確認しよう」といった具合に、柔軟な姿勢で検証していきます。
融資を申し込みする起業家は、審査の担当者による事前準備段階からいい印象を与えることが、首尾よく審査をパスするために重要です。そのために有効な手段の一つが、説得力ある創業計画書を提出することなのです。