起業のために高額の資金が必要など、創業融資を受けるのにハードルが高いケースがあります。そうした場合でも、審査をパスしやすくする方法がありますのでご紹介します。
①地方銀行や信用金庫と同時に融資を受ける
昨今、日本政策金融公庫と民間金融機関を同時に利用するパターンが増えています。ここ数年来、日本政策金融公庫と地域の銀行や信用金庫は、「業務連携・協力に関する覚書」の締結を進めているからです。これは、情報交換を密にして、顧客を相互紹介したり協調で融資を実行したりするスキームです。
互いの顧客の紹介をすることで、地域の起業家の発掘につながる、双方のリスクを低減できる、日本政策金融公庫にとっては民間金融機関の補完ができる、といった多くのメリットがあるからです。
そのため日本政策金融公庫の創業融資も、民間金融機関を通じて申し込みするほうが、円滑に利用できる可能性があります。とくに必要金額が1,000万円を超える場合は、日本政策金融公庫だけでの調達は容易ではないので、身近な信用金庫などの担当者へ「○○信用金庫さんと公庫の融資を同時に利用したい」と話を持ちかけてみるといいでしょう。
②商工会議所や商工会の経営指導員と相談しながら進める
各地域には、商工会議所や商工会という組織があり、「経営指導員」という方々が親身になって起業のアドバイスをしてくれます。とくに地方で起業する場合は、商工会議所や商工会から紹介を受けて日本政策金融公庫へ申し込みすると、円滑に融資が決まる可能性が高まります。
私が九州の支店で融資課長をしていた頃、ある商工会から葬儀場を起業する人の申込み紹介がありました。最初見たときには、自己資金が少なかったので、「融資は無理だなあ」と思いました。ところが、経営指導員が起業家本人とち密な市場分析を行って「売上の根拠となる資料」をつくりあげていました。それが決め手となり、地元の信用金庫の融資と合わせてトータルで高額の融資が実行できました。
商工会議所や商工会は基本的には会員制ですが、「起業したら会員になる」という前提で、起業志望者への支援を積極的に行っています。