審査のチェックポイント「財政状態」について

融資担当者が「財政状態」について調べるのは、起業後の資金的な余裕度を見るためです。資産が多い状態(資産超過)のほうが、いざというときに補てんができるので、維持力が高いという見方ができます。

また、様々な支払い状況をみることで、借入したときにきちんと期日に返済するという姿勢(「期日観念」といいます)があるかどうかの判断材料になります。

「財政状態」に関する主なチェックポイントは次のような項目です。

①資産はどれくらいあるか

端的にいうと、資産をたくさんもっているほうが、起業した後にいざというときの補てんができるので、事業継続のための耐久力があるという見方になります。融資担当者は、融資を申し込みした人が、不動産や金融資産をどれくらい持っているかを把握しようとします。資産は多いほうがいいので、積極的に開示することを心がけてください。

「自分はたいして資産を持っていない」と思っている方が多いですが、一度しっかりと洗い出して確認してみてください。すると、思っていたよりも多くの資産をもっていることがあります。たとえば解約すれば返戻金が出るタイプの保険などです。また、自分名義のものだけではなく、同居家族名義のものも協力してもらって示すことが有効に働きます。

融資担当者に資産を開示する方法は、基本的には預金通帳などの現物を見せることです。不動産の場合は、権利書や登記簿謄本(法務局の登記事項証明書)を提示することになります。


②負債はどれくらい抱えているか

負債とは、借入金がどれくらいあるかということです。例示すると住宅ローン、車のローン、カードローンなどです。負債も、資産と同様に資料を提示しながら説明することになります。資料とは、たとえば住宅ローンであれば、毎月の返済予定表などです。

審査判断において既存の負債が多いとマイナスに働くので、短絡的な発想としては隠したほうがいいといえます。しかし、隠したことが判明してしまうと「信用できない人」と判定されかねません。とくに、後述する「個人信用情報」に記載されている負債は、隠そうとするのは禁物です。

③諸支払い振りはどうか

「諸支払い振り」とは、種々の支払いを期日通りにしているかということです。とても細かいことですが、公共料金や税金、借入の返済などについて、遅れなく払っていることが信用になるのです。面談の場で、支払い状況が分かる資料として、領収書や引き落としの口座の通帳などを求められます。

また、金融機関は融資を申し込みした人の「個人信用情報」を調べます。個人信用情報とは、銀行、信用金庫、クレジットカード会社などが加盟して、個人の利用状況や支払い状況を情報として蓄積するシステムです。「CIC」「全国銀行個人信用センター」「日本信用情報機構」が代表的な機関です。

自分の個人信用情報は、取得して確認することができます。

私は、融資を申し込みする人に、「ご自身の信用情報をとってみてください」とアドバイスをしています。自分の借入や支払いの状況がどのように記載されているか確認することで、あらかじめ対策を講じることができるからです。たとえば、万一遅れているものなどネガティブな情報があれば、しばらく正常に支払いを続けてから申し込みするべきです。

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